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ダイバーシティ&インクルージョンとは?日本企業におけるダイバーシティ&インクルージョン推進の課題とCSRレビューフォーラムにできること

主幹:堀井 紀壬子

ダイバーシティ&インクルージョンとは

ダイバーシティ&インクルージョンとは、まさに多様な人材によって構成されているアメリカ合衆国で生まれた概念であるが、「ダイバーシティ」と言う言葉が生まれ、また現在「ダイバーシティ&インクルージョン」と称されている経緯に簡単に触れておきたい。

1960年代に公民権運動で、マイノリティの権利が認められるまではアメリカは「人種のるつぼ=すべての国民がアメリカ的な価値観に同化すること」が一般的であった。しかし、1960年代、公民権法等、アファーマティブアクションの出発点ともなる法律が施行されると、法令順守や、莫大な訴訟費用回避のために、企業にも「ダイバーシティ」の推進が必要不可欠になってきた。 また、その後、1980年代には、企業内のマイノリティ従業員を活用して、消費者の嗜好を反映させた製品・サービス戦略の立案実施の重要性が着目されるようになった。

1987年に21世紀のアメリカの人口構成の予測をハドソン研究所が「Workforce 2000」 に発表されると、企業のダイバーシティへの取り組みはより真剣なものになる。このレポートによれば、1985年から2000年までの新規労働力のうち、米国生まれの白人男性はわずか15%にすぎず、ほとんどの新規労働力は米国生まれの白人女性とマイノリティ人種及び移民である。

ここで登場したのが、「ダイバーシティ&インクルージョン」の推進である。単なるダイバーシティの時代には、たとえば市場に20%のヒスパニック系住民がいるから、20%のヒスパニック系社員を採用するという「代表=リプレゼンテーション」の考え方が主流であった。しかし、その職場が、多様な人材を受け入れ、働きやすい環境でなければ、社員の定着度は低く、採用・教育にかける企業の経費も莫大なものになる。また一人一人の能力を活かし、企業の創造力を高めるためにも、社員のモチベーションを高める職場環境が不可欠である。 そこで2000年頃から、アメリカでは「ダイバーシティ&インクルージョン」の考え方が一般的になり、現在では、「インクルージョン&ダイバーシティ」とインクルージョンをより重要視する企業も現れている。

またヨーロッパ系の企業も、EUによる労働力の流動化に伴い、「ダイバーシティ&インクルージョン」の推進は不可欠になっていて、ヨーロッパが本社の在日企業でも「ダイバーシティ&インクルージョン」の活動が最近顕著になっている。

日本におけるダイバーシティ&インクルージョン推進の現状

ダイバーシティという言葉が日本社会に登場してきたのは2003年の日経連(当時)のレポートからで、アメリカと同じく将来の人口構成、労働力人口の変化が引き金となったが、その動きはあまり迅速ではなかった。人口減少が具体化し、ベビーブーマーの定年退職が現実的なものになってきて、初めて日本企業は女性や高齢者の雇用継続に真剣に取り組むようになり、いわゆる従来の企業社会の唯一の担い手であった壮年男性とは異なる価値観を持つ人々を抱える職場の課題に遭遇したのである。結果、ダイバーシティ推進室などの組織を通じて、主として「女性活躍推進」のためのダイバーシティ推進施策が数多く実行されてきた。また最近では、アメリカの影響を受けて、「ダイバーシティ&インクルージョン」を掲げて活動を行っている企業も外資系企業を中心に増加しつつある。インクルージョンとは「異なる価値観を持つすべての人を受け入れ、それぞれに実力を発揮させる職場風土の醸成」といえる。

しかしながら日本の企業の多くはダイバーシティ推進を「女性活躍推進」と同義語化しており、男性を含めた個人の能力や価値観の尊重ということが理解されているとは言い難い。また、「女性の活躍または活用推進」という理解から、ダイバーシティ&インクルージョンの推進が経営上の戦略的課題であるという認識に欠けていて、この分野の推進の優先順位が低いことが課題である。

現在、日本企業の多くはグローバル展開もしくはアジア市場への本格的進出を戦略課題としている。外国籍の社員の採用も増加していると聞く。しかし、真の意味のダイバーシティ「さまざまな属性の違いを超えて、一人一人の価値観と能力を認め合い、組織の目標を達成する」という観点が欠如していては、海外でのマーケティング活動、現地社員の動機づけ、日本国内の外国籍社員の活躍などに重大な支障をきたすと思う。

自社にとって、ダイバーシティ&インクルージョンの推進が経営目標達成のためにどのような意味をもつのかを社内で討議していただき、経営者が「ダイバーシティ&インクルージョンの推進はわが社の経営戦略上の重要課題である」という強い確信をもって、社内の意思統一を図ることが、まず大切である。

CSRレビューフォーラムができること

CSRレビューフォーラムとしては、「ダイバーシティ&インクルージョン推進」の決定をした企業に対して、具体的な推進策の提案や、コンサルタントの紹介、研修プログラムの紹介などを行う。
また、「ダイバーシティ&インクルージョン推進」の可否を決める議論のファシリテーションを行うことが可能である。

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