• CSRレビューフォーラムは
    こう考えます

 

消費者課題をどう実践するか

主幹:古谷 由紀子

「消費者課題」を実践するためのポイントについて、次の2つの観点から報告します。

Ⅰ.「持続可能な消費」への挑戦
Ⅱ.「消費者課題」とCS(顧客満足)とは違うのか?

最後に、CSRレビューフォーラムができることをお伝えします。

T.「持続可能な消費」への挑戦

  • Q.「消費者課題」の1つである「持続可能な消費」に注目が集まっているのはなぜか?
  • A.私たちが今のような商品やサービスの選択・消費を続けていたら、持続可能な地球や社会を実現することはできません。
    持続可能な社会を実現には、消費者が現在のライフスタイルを見直すことが不可欠です。
    企業は、持続可能な製品づくりや情報発信、さらには消費者教育などによって、消費者とともに「持続可能な消費」へと進んでいくことが求められています。
  • Q.どんな取組みをすればいいのか?従来の環境に優しい製品づくりの延長でもいいのか?
  • A.持続可能な発展につながるかどうか、がポイントで、消費者との関係性の見直しも求められる。単に自社の商品・サービスが環境配慮しているかどうかではない。 ISO26000では組織への期待として、次のような取組み例をあげている。
    (1)効果的な教育(能力を与える、消費パターンの変化等の方法への助言など)
    (2)社会的、環境的に有益な製品・サービスの提供(マイナスの影響の除去・最小限、再利用等可能な設計、持続可能な発展に貢献できる供給業者の優先、消費者への製品・サービス情報の提供、社会的・環境的に有益な情報の提供など)
  • Q.お勧めする具体的な取組みはあるか?
  • A.一つには、情報開示。たとえば、消費者のライフスタイルの見直しには消費者の行動を促す企業の情報開示が不可欠。自社の良い取り組みだけを示すのでは足りない。二つには、消費者教育。持続可能な社会を担う人材の育成は消費者のみならず企業にとっても重要。消費者(団体)と協働して取組むことを勧めたい。

U.「消費者課題」とCS(顧客満足)とは違うのか?

ポイント1:目的

  • Q.CS(顧客満足)とどう違う?
  • A.従来、組織(企業)は、お客さまに対し、CSの考え方で取組んでいますが、「消費者課題」の取組みとは、以下の点で根本的に差異があります。
    ■ CSは自組織の発展のため、ISO26000は「社会の持続可能な発展に貢献」するもの
    「中核主題」は「社会的課題」の一つとして、その目的は持続可能な発展に貢献することにあります。
    ■ 対象者の位置付けが異なる
    上述からも、現在の「お客さま」だけではなく、潜在顧客としての消費者、未来の消費者も考慮に入れた取り組みが必要です。

ポイント2:取り組みテーマ

  • Q.CSの取り組み分野は「品質」や「お客さま対応」が中心だが、それで問題はないか?
  • A.ISO26000では7つの消費者課題が設定されています。これらを参考に現在の取組み内容を見直してみましょう。重要なのは、組織(企業)が自らの社会的責任の範囲を認識して、消費者の置かれた現状の解決として自組織が貢献できる課題について、優先順位を決めて進めることです。

表:7つの消費者課題、消費者課題の取組みの原則及び考慮点、社会的責任の原則

ポイント3:行動

  • Q.従来、これについてもCSの発想で行っていることが多いが、ISO26000と異なるのか?
  • A.消費者の権利や社会的責任原則などによる取り組みが必要です。
    ■ 取り組みの考え方の基本は「消費者の権利」
    従来CSの取組みとしての、ニーズへの対応、不満の解消や苦情の解決に加え、消費者にとっての課題の解決を消費者の権利の視点で取り組むことが求められます。
    ただし、いきなり「消費者の権利」に基づく取組みはむずかしいので、最初は自社の取組みのチェックとして使用してはどうでしょうか。
    ■ 社会的責任の原則に基づくことが必要
    「消費者課題」の取組みについては、上述の「消費者の権利」に基づいた取り組みとともに、社会的責任原則に基づいた取り組みが求められます。できるだけ具体例で何が求められるのか考えてみましょう。
    ex.「リコール」を実施する場合消費者の権利、社会的責任原則(説明責任、消費者の利害の尊重など)によるリコールであることが必要
    ⇒迅速・適切なリコール、原因究明や再発防止策の取組みと説明、取組みの結果報告、十分な救済などが求められます。

ポイント4:ステークホルダーである消費者との必要な関係

  • Q.CSとして、「お客さまの声」を聞くことに力を入れているが、それで十分なのか?
  • A.さらに、「持続可能な発展への貢献」の視点で、消費者とのダイアログ(対話)、エンゲージメント(協働)、コミュニケーションをいっそう進めて行くことが重要です。
    ■ 消費者とのダイアログ
    活用例として、消費者への影響を知る、消費者の課題を知る、消費者の期待を知る、あるいは自組織(企業)の取組みについてコミュニケーションするなどがあります。
    たとえば、安全などについて消費者の置かれている現状を理解し、積極的に情報開示しながら、今後のより良い関係づくりのための課題を検討するなども考えられます。
    ■ 消費者とのエンゲージメント
    ISO26000では「対話の機会を作りだすために試みられる活動」としていますが、進んだ組織(企業)では課題をステークホルダーと協働して解決していく取組みが行われています。「持続可能な消費」や「消費者教育」などは企業のみでの取組みはむずかしいことから、協働した取り組みが持続可能な発展を一層促進することにつながるでしょう。
    ■ 消費者とのコミュニケーション
    ISO26000では、社会的責任に関するコミュニケーションも重要視しています。自社のお客様のみならず広く消費者に対し、コミュニケーションすることを進めます。
    CSR報告書のみならず、Webサイト、商品ラベル、消費者団体との意見交換など多様な手段による工夫が求められます。

CSRレビューフォーラムができること

  1. ISO26000にもとづく「消費者課題」の取組みのレビュー
    ・「消費者課題」はできているのか
    ・「消費者課題」の何を優先順位として取り組むか
    ・他社の「消費者課題」の取組み例
  2. 「消費者課題」を理解するためのワークショップの企画・運営
    ・「消費者課題」は経営全体に関わります。お客様部門だけではなく、できるだけ多くの部門から参加を得て、ワークショップなどによるディスカッションで理解を深めましょう。
    ・テーマ例
      ○ 自社がどのような「消費者課題」に取組むといいか
      ○ 企業と消費者の関係のあり方を考える

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