• CSRレビューフォーラムとNEC
    ステークホルダー・レビュー
    6年間の振り返り

 

概括

CSRレビューフォーラムとNECは2011年から2016年までの間、6回の対話とレビューを行った。
CSRレビューフォーラムにおいては、多分野のNPO/NGOがアライアンスを組んで企業と総合的なエンゲージメントを行い、企業の活動が持続可能な社会に貢献するものとなることを目的としてこれを順次実践した。
NECにおいては、多様なステークホルダーと対話し、評価されるプロセスを通して自社の事業が広く社会の要請に応えるものとなることを目的とした。
両者共通の目的は、本プロジェクトを通して企業とNGO/NPOの本格的なエンゲージメントが広く社会に広がることであった。
対話とレビューに当たっては両者がISO26000をすべての基盤とした。

本プロジェクトの6年間の推移は、初期においては、ISO26000が示す、原則および中核7主題に逐一沿って状況を確認することから始め、中核主題に沿ってPDCAを確認していった。中盤以降は、NECがPDCAによるスパイラルアップのマネジメントをしていることを受け、中核主題のうち、特段の大きな問題は無いと両者が判断したものを順次レビューのテーマから外し、NECの事業が社会に対して大きくインパクトを与えると思われる分野に絞り対話を進めた。最終年度のレビューでは、人権、CSR調達、社会課題解決事業の3分野に絞ることとなった 。

6年間の成果:

  1. 世界基準であるISO26000を用いることにより、双方が共通の基盤に立って対話し、レビューを行うことができた。
  2. ステークホルダーとの直接の対話によって、各部署が各課題を当事者として捉えるようになった。

CSRレビューフォーラムにおいては、

NECが取り組みの相手となって、ステークホルダーがチームとして企業と対話し、評価する方式の経験を積むことができた。
NGO/NPOがアライアンスを組み、企業と包括的に対話し、総合的な観点でレビューを行う、というCSRを進化させるための重要な試みとなった。

 

具体的な振り返り

  1. レビューテーマの選定について

初年度はISO26000の中核7主題をレビューテーマとして始め、次第に絞った。
その一方で、2014年度から社会課題解決事業(中期経営計画)をテーマに加えた。

中核7主題については過不足の無い構造でスタートし、その後の絞り方も妥当であったのではないか。
一方、社会課題解決事業をレビューテーマとするに当たっては、NECが開発し始動する個々の社会課題解決事業を社会・環境・経済の全側面でレビューし、事業が社会課題を解決しているかどうかを評価したい、事業が間違った方向に進んでいないかどうかを評価したい、と考えたが、そのような評価は困難だった 。

当初、「これは社会課題解決事業だ」とNECが考える事業を提示いただいて、事業レビューすることを目論んだが、事業部門のメンバーとの対話では、具体レビューの手前の「社会課題解決事業はどうあるべきか」の議論に留まった。
この議論では、開発の過程において社会の各課題の本質を捉えるためにはどのような人たちの中に入っていくことが必要か、開発における必須の観点は何かといった深層に至る議論ができた。一方、対話のテーマが幅広く、NECが開発しつつある個々の事業についての実務的な対話にはならなかったため、「エンゲージメントによる社会課題解決事業評価」の試行モデルと言えるまでの対話にできなかったことは残念だった。

なお、初年度からの本社での中核七主題に関するレビューに続いて、いくつかの工場・支社などの現場でのレビューを行うことをCRFからNECに提言したが、より社会に対して大きくインパクトを与えると思われる分野での対話を優先したいというNEC側の思いと整合できず実現できなかった。

 

  1. レビュアーについて
  1. 統括レビュアーについて

結果として6年間、山口が統括を務めた。
統括者を挙手によって交代で行えれば、レビュープログラムがより多様になったと思われるが、レビュアー各位の多忙さを見ると現実面では難しかったかと思える。

一方、同一者がレビュアーを務めたことが、レビューの一貫性とCSRレビューフォーラムへの信頼性担保につながった。

  1. レビューのメンバーについて

6年間で合計18人がレビュアー参加した。
テーマとレビュアーの組み合わせは適格であり、毎年、各テーマにおいて充実した議論、質疑応答、提言を行うことができたのではないかと思われる。

レビューテーマを専門分野とするメンバーを中心にレビュアーチームを組んだ。
グローバル化を進めるNECにおいて、 途上国課題は大きい視野でみた時の重要な課題であるが、その領域にテーマを拡大できなかったことは残念である。

 

  1. レビュー前の準備について

3月頃から2−3回の事前打ち合わせを行い、テーマと主要議題、人選を双方で詰めた。
レビューは5月、6月に実施。
CSRレビューフォーラム内での事前準備については、CSRレポートには表れない実際の課題等について、表裏多面的に自主調査し、その上でレビューすることが必要なことながら、これがほとんどできなかった。これが最大の反省点である。
自主での調査によって、レビューを深層まで深めることが必要である。
6年間、いただいた資料によるレビューにとどまった。また、レビュアーの多忙さもあり、現在のメンバーがこれまで以上の時間を掛けて前準備をし、レビューに臨むことは難しいと思われる。

  • ※社会課題解決事業レビューについては、もし具体事業を個別レビューするとすれば、どのような議論をし、どのような指摘、提言となるかについては、別途内部での議論を行いたい。

 

  1. レビュー当日について

各テーマについて、NECは担当部署長と担当者、およびCSR推進室メンバー。
CSRレビューフォーラムは、テーマに沿った人選にて3‐4名のレビュアー。
CSRレポートのドラフトを基礎資料として議論を行った。
ファシリテーターは山口が担当。
議題は双方で事前に充分に詰めた結果として、議論は双方でよく噛み合った。
議論の結果は提言書に反映されたように思われる。

 

  1. 意見書、および提言書について

6年間、対話の内容をベースに、評価し提言した。統括レビュアーが原案を書き、レビュアー各位が加筆した。総意をまとめることもでき、時間も無駄にならず、NECにも正面から受け止められてその後PDCAに反映されるなど、全体として妥当な成果となったのではないか。

 

  1. 提言へのNECの対応について

提言書に対して、施策化する、しない等の具体的な応答を文章にして速やかに社会に示すことを毎年要請したが、NECからは翌年発行のCSRレポートで、前年の提言内容と行った施策を対照して示すにとどまった。NECには、提言内容に対し、より詳細で、かつ、タイムリーな対応状況の開示を望みたい。

 

以上が6年間の総括である。

 

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